ハザマ薬局薬剤師レジデント便り(2)

確実に対物から対人に視点が移る

薬剤師は、病院で研修をするべきか。

 

私の結論は、yes!思温ホスピタルです。その理由は色々とありますが、特に地域包括ケアシステムという概念が完成されつつある中で、薬剤師の7割が働く薬局でも、以下のようなポイントが求められます。

 

1つは、連携の機能。単独の薬局で、薬を出して終わりということではありません。そのときの患者さんの状態に応じて、服用後もフォローしたり、情報を提供したりということが必要になります。また、医療機関、介護施設、在宅と状態に応じて患者さんは療養の場所を変えますから、点の情報ではなく、時間経過や診療方針も含めた線の情報をきちんと伝えて、連携の室を高める力が必要なるでしょう。

 

2つめは、輸液や麻薬に関する、知識・技能・態度です。在宅での療養支援にも必須の知識ですが、病院では日常的に使用していきます。先ほどの連携についても、いずれ、何らかの形でタッチする領域ですから、基本的な素養としてもっておき、必要に応じて、薬局の機能を発揮できるための体制を人的にも、ハード的にも作っておくことが重要です。

 

そして、3つめは、患者さんの状態だけでなく、その社会背景や治療の現場での医療人の苦悩なども、実際に我がこととして、考えながら体験できるのは、やはり、病院だということです。在宅でももちろん考える場面はありますが、在宅で色々と関わっていくと、どちらかといえば、介護やケアの観点が増えてしまいます。これはもちろん大切ですし、医師も含めて医療人は持っておくべきものだと思いますが、やはり、医療としての専門性を持った観点から関わりを持つことが、介護や看護を担当する他の職種とチームを組む上でも重要です。

 

このような経験を、若いとき、特に卒業直後にしておくことの意義は大きいと思います。もちろん、ある程度中堅になってからでも良いのですが、重要なのは、24時間自分のために使える期間にこういう体験をしておくことだと思うのです。

 

結婚すれば、自分の時間は半分になりますし、子どもが生まれた途端、ゼロになります。いずれも、人生そのものでは非常に大きな意味を持ちますし、クリエイティブな事柄です。これを差し置いてまで、仕事を優先させることはないと思います。しかし、いずれ、また、自分の時間を使える余裕は出てきます。そのときに備える意味でも、是非、若い内に病院経験を積んでおくことの意味は大きいと思います。

ハザマ薬局から思温病院に研修に出て、2ヶ月が済み、高橋先生は、上記3つの観点から、よく患者さんを見ているなぁ、と思いました。確実に、対物から対人に視点は移っていると実感しました。

 

青森のご両親に、喜んでいただけるように、是非、大阪で頑張って欲しいと思います。