法律が変われば、薬剤師、薬局、そして地域医療が変わる。
薬剤師の仕事は、薬を渡すまでだと、ホントに広く、固く信じられてきたと思います。
でも、そうじゃない。それだと、薬学部で勉強した意味が実感できないし、周りの医療専門職は、薬剤師の専門性が理解できないのです。
なぜなら、薬学部で学ぶことの多くは、薬が体に入ってからどうなるか、ということです。いわば薬理学的なできごと、時間軸や、製剤的な工夫も併せて考えることができるというのが、薬剤師が専門性を発揮できる場所だと思います。
しかし、従来から、薬剤師の仕事は薬が体に入るまで、お渡しするまでに限定されてきました。ここで、強力なビジネスモデルができあがり、社会保障制度の一環として国費を投入して制度化されましたから、みんな、これが自分の仕事だと思ったのですよね。かくいう私も、そう思ってきました。
でも、それだと、薬剤師の専門性は発揮できないですよね。
だって、薬が体に入ってからのことを学び、ここの知識を磨き、国家試験でも多くのところは、ここを問われている。
にもかかわらず、however...
実際の仕事は、薬が体に入るまで。これでは、薬剤師は自らの専門性に迷うばかりでなく、医師も、看護師も、患者も、薬剤師が何の専門家か分からないわけです。
この点線を乗り越えるためには、患者の状態を知るためのツールとしてのバイタルサインが不可欠です。
でも、これも、薬剤師はヒトの体に触れてはならない、と広く、固く、信じられていました。今から10年ぐらい前の
話です。ただ、これもまた、薬剤師法改正の中で、薬学教育が6年制になり、モデルコアカリキュラムにバイタルサインの
項目が入り、今では、大学で普通に教えるようになりました。
とはいえ、服用後のフォローをする、点線を越えるなんて…と色々な議論がありましたが、
それが、法律に明記されることが決まりました。
この法律改正は、きっと、薬剤師を変え、薬局を変え、日本の医療を変えると思います。
令和の時代は、そういう時代なのかも知れません。