これは熱湯が注がれるということか?

10月23日に厚労省から薬局ビジョン

10月30日に財務省から社会保障資料

と立て続けに衝撃的な資料が飛び出してきました。

その興奮も冷めやらぬ中、

中医協での資料が11月6日に出されてきました。


分割調剤やら残薬やら、

処方箋薬の種類の減少やら

この2年間でいくつか議題にあがっていたものが話

合われています。


いろいろな印象や論評はあるでしょうが、どうやら

2016年度の調剤報酬改定は大変なことになりそうです。


ゆでガエルの話を、ふと、思い出しました。

詳しくは、拙著に書いておりますが、

あらためて、考えてみましょう。


昔、居心地がよい池があったわけです。みんな、カエルは

幸せに暮らしていました。

ただ、だんだん、その池の温度が上がってきて、つらく

なってきたのですが、よかった時代がどうしても忘れられずに、そのままみんないたわけです。


飛び上がるかどうか、それが問題で、中には思い切って飛び出していくカエルもいるので、僕も、と思うのですが、

そうすると、隣のカエルがぽんと肩をたたいていうのです。

「この池、よかったやないか。また、きっとよくなるで。もうちょっと一緒にいようや。」と。


ただ、どんどん温度が高くなっていって、最後には茹で上がってしまう。そんな寓話です。

今の処方箋調剤もそんな風になっているのかもしれません。

調剤薬局業界は、すばらしかった。

社会的意義もあったし、業界も潤いました。

ただ、時代の変化とともに、それらが変わってきました。

言うなれば、だんだん池の温度が高くなっていったわけ

です。

このままでは、業界全体が茹で上がってしまいます。それでは、国民も含めて全員が困ります。だって、薬は絶対にいるし、その適正使用は今も続く課題ですし、そのために、

薬剤師という国家資格者を6年制教育にして、やっていこうとしてきたのですから。


全員が茹で上がるのを防ぐ唯一の方法。

それは、池に熱湯を注ぎこむことです。

それまでは、どうしても、飛び上がる踏ん切りがつかなかったメンバーも、熱湯が注ぎ込まれると話は別です。

あちっと反射的に体が動きます。ただ、茹で上がることはありません。

確かに、このままでいくと、薬局や薬剤師全体がどうかなってしまうんじゃないか、と思うぐらい、

バッシングとも評される社会的風潮があります。


でも、3月の規制改革会議でもそうですが、「薬剤師に意味がない」「医薬分業制度に意味がない」という話には

一切ならなかったわけです。8月29日の医療政策機構のシンポジウムでも、武田審議官(当時)は、

「今回の一連の議論が良かったのは、国民も、行政も、薬剤師自身も、医薬分業制度には

明確な意義があると認めたことだ」とおっしゃったのですが、まさに、その通りだと思います。


医薬分業制度には、意味がある。しかし、門前薬局ともいわれる形態には課題があるというのが

実際のところだと思うのですが、今のままではなし崩し的に、すべてに意味がないという風に

なりかねないのではないかと思うのです。


薬剤師や薬局の制度そのものが、きちんと機能しないことは、これはやはり国としても困ります。

国民皆保険制度、フリーアクセスを担保しつつ世界最高長寿を達成した社会保障制度を今後も作っていくためには

やはり、抜本的な改革が必要ですが、今の薬局や薬剤師がきちんとした評価をされ、よい薬物治療体制を

気づいていくには、やはり、熱湯を入れるしかないのかもしれません。


2016年度、そして、それに引き続く2018年度改定は、きっと、業界全体にとんでもない熱湯をどばっと

注ぎ込むのではないか。もちろん、やけどはするかもしれませんが、飛び上がって次の池に移ることで

きっと次の展望が開けるということが体感できるのではないでしょうか。


もちろん、やけどの程度によっては、生命にかかわるものがあるかも知れません。

しかし、業界全体がなくならないためにも、ある意味では、厳しい中にも優しさ(?)がある

改訂になるのではないか。


最近の資料を眺めていて、つくづく思いました。


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コメント: 2
  • #1

    亀田英樹 (土曜日, 07 11月 2015 11:59)

    財務省、厚生省からの案がだされる度に、戦々恐々とはしておりますが、その直前に栃木県薬剤師会の研修会で直に狭間先生のお話を聞くことができていて、今になり、本当に良かったと思っております。
    先生の講演とくに、17年スパン説を聞き、これは肝を据えて、業務をやらなきゃ
    見直さなきゃモードになれていたからです。
    よく、政治家を揶揄する言葉で永田町の常識は国民の非常識などという言葉がありますが、私達薬剤師業務もそれではいけないんですよね。
    患者さんの見えないところで、こんなに対物業務を頑張って、それなりに対人業務だってやってるのに、薬剤師バッシングなんてひどいやんと感じではおりましたけど、国民目線でイノベーションしなくてはいけないと痛切に感じております。
    私は亀田なので茹で亀にならないように来年改定に向けて頑張ります。
    先生の発信する言葉に、勇気を頂きながら・・・
    長文にて失礼いたします。

  • #2

    狭間研至 (土曜日, 07 11月 2015 23:30)

    ありがとうございます!
    着実にでも大胆に進んで行きたいですよね〜!