2013年の秋頃。
居住系施設の訪問診療について、
診療報酬上の見直しが必要なのではないかという
世論が形成されつつありました。
患者紹介ビジネスや、常識的には考えづらい数の患者を
訪問する事例、また、それらをシステマティックに行い
大きな収益を上げている事例などが、断片的に、しかし、
色々と報道されました。
施設系在宅をメインで行っている診療所にとって、2014年改定は
厳しいものになるよな、と誰しも思っていました。
年末ごろでしたか、中医協の答申がでて
やはり、施設系への在宅は見直すべき、という意見とともに
○点と点数が引き下げられることだけはわかっていました。
ただ、在宅療養支援診療所という枠組みが作られて以後、
在宅医療への流れはとまらないだろうということで、
まぁ、なんとかなるかと思っていたのかも知れません。
年があけて、2月の20日ごろでしたか。
私は、午前の訪問診療を終えて、午後の施設に向かう途中、スマホで
発表された新しい診療報酬の資料を見ました。
それまでの答申資料などで、見慣れた文を追っていき
居住系施設在宅の点数を見て、絶句。
1/4に激減していました。
いや、1/4って、うそでしょ!?と一人、駐車場にとめた
車のなかでつぶやきましたが、そのまま、すぐに
クリニックの事務長に電話をしました。
「見た?」
「見ました」
「大変ちゃうの!?」
「大変です、センセ」
そこから、どう言っても仕方がないわけで、
結局、大幅な減収を、クリニックの1つを閉鎖し、
人員整理をし、診療体制を見直し(うちは、回避のための
戸別訪問はしませんでした)ました。
その年の理事会は、結構、重苦しい雰囲気でしたが
結局内部留保をもとに、数ヶ月は様々なリストラクチャリングに
取り組んで、きちんとした医療を提供しつづけることに
しようとなりました。
結果、一定数の医療機関は在宅から手を引いたと思います。
ただ、結果的には極端に患者さんが困った事例は、
少なくても報道レベルにはなかったと思います。
あれから2年近く。
クリニックは、平穏に、また、今まで以上の質を担保しながら
診療を続けています。
さすがに、1/4はやり過ぎだったのでは?という振り返りもあるとかないとか。
訪問診療専門のクリニックを認めようという話もあり、時代は、また、変わろうとしています。
報酬制度が変わったときには、ひどい話や、と思いましたし
その気持ちは今もありますが、
誤解を恐れずに言うと、本当にやりたい人だけが残ったのかも知れません。
今回の調剤報酬改定が、どのようなものになるかは、
わかりません。
しかし、この1年ぐらいの様々な業界のできごと、
私自身が、出会ってきた様々な場面、
いろいろなキーとなる方のお話、
さらに、昨今、発表されているいろいろな資料を
拝読するに、
この2年前の診療報酬改定がだぶってしまいます。
介護報酬も変わって、小規模事業者の倒産があいついでいるとの報告もあります。これも、同じような段階を経て、介護報酬の引き下げになったのかもと思います。
本気の人が、本気でやればなんとでもなる、でも、そうでなければ、どうにもならない、という業界に変わっていくのかも知れません。
もちろん、当たるも八卦、当たらぬも八卦ですけどね。
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